神経内科医の覚え書き

神経内科専門医、総合内科専門医。研究から臨床に戻りました。記憶整理用の覚え書きです。

末梢性顔面神経麻痺

特発性末梢性顔面神経麻痺 (Bell麻痺)

多くはHSV-1の再活性化に関連して発症すると考えられている。

内科的治療

 無治療でも70%以上が後遺症を残さずに寛解

 発症3日以内、遅くとも10日以内に開始。

①PSL 1mg/kg/day or 60mg/day

 5-7日間内服後、1週間かけて漸減

 *中等症以下、高齢者では0.5mg/kg/day or 30mg/day

②抗ウイルス薬

 バラシクロビル 1,000mg/day 分2(5-7日間)

 アシクロビル 1,000 - 2,000mg/day 分2-4(5-7日間)

③メコバラミン 1,500µg/day 分3

 寛解まで or 発症後8週間まで

 

遅発症状

 隣接する神経に異所性再生や混信伝導を起こすことにより病的共同運動が生じる

ex) 瞬きをすると口角が不随意に動く、食事の時に涙が出る、麻痺即顔面の筋痙攣 など

 

 

Ramsay Hunt 症候群

耳介周囲の帯状疱疹、顔面神経麻痺、第Ⅷ脳神経症状(耳鳴、難聴、めまいなど)を3主徴とする。

*全てが揃う典型例は少ない。

  • 顔面神経麻痺はBell麻痺より重症で予後不良(自然治癒率30%)
  • 治療介入による完治率は約60%
  • めまいは難治性で前庭代償が困難